放送前から期待していた『雀骨』ですが、視聴を重ねるほどに「もっと多くの人に見てほしい」と感じる作品になりました。
中国でも質が高いドラマと、かなり評価が高いですが、その理由は、一言で言えば脚本の完成度の高さです。

説得力のある脚本と演技
SNSでは「全員がバカではない」という感想が多く見られますが、この言葉がまさに本作を表しています。
登場人物はそれぞれ異なる立場と思惑を持ち、自分の利益や信念のために動いています。都合よく誰かが急に愚かな判断をすることもなく、一人ひとりの行動にしっかり理由があるため、権謀術数の駆け引きに非常に説得力があります。
伏線の張り方も丁寧で、序盤から何気なく置かれた出来事が後半で回収されていく構成は見事。「1話で6話分の情報量がある」と中国内で評されるのも納得で、見返すたびに新たな発見があります。
ラブラインは?
一方で恋愛描写は、近年流行のラブストーリーとは対照的(百花殺のようなグダグダは無い)です。
侯明昊(ホウ・ミンハオ)と艾米(アイミー)は、必要以上にキスシーンや甘い演出に頼るのではなく、視線や表情、わずかな間で感情を表現します。
中国で「中式純愛」と称賛されているように、抑制された表現だからこそ余韻が残り、二人の想いがより深く伝わってきます。まさに「目で語る演技」で魅せる作品と言えるのでは。

主演の演技力
主演二人の演技も素晴らしく、侯明昊は殺陣や乗馬などアクションシーンで圧倒的な存在感を見せ、静かな場面では繊細な感情表現で物語を支えています。
艾米も序盤こそ世間知らずで少し頼りない少女ですが、様々な出来事を経験し、世界の現実を知る中で少しずつ成長していく姿が丁寧に描かれています。その変化にはしっかり説得力がある。
中国でも「才能と輝きにあふれている」と将来性を高く評価されているのも頷けます。
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惜しい点は予算不足
ただ、惜しい点がまったく無いわけではありません。
個人的には、脇役の王以綸の演技だけは、作品全体の重厚な権謀劇の空気にやや追いついていないように感じました。主演陣や他の実力派キャストの完成度が高いだけに、少し浮いて見えてしまう場面があり、もったいなく感じます。
また、本作最大の弱点は予算不足でしょう。
セットやCG、演出面では、近年の超大型時代劇と比べると粗さが見える部分もあります。宣伝規模も決して大きくなく、中国でも「宣伝不足で埋もれてしまった視聴者が選ぶ良作」と評されることがあります。
そして何より強く感じたのは、脚本の力は作品の土台なのだということです。
実際、放送序盤は作品評価の高さに対して視聴者数や熱度が伸び悩みましたが、口コミが広がるにつれて後半は盛り返し、「見始めたら止まらない作品」として評価を高めています。
同時期に放送された『百花殺』と比較すると、個人的には脚本の完成度は天と地ほどの差があると感じる。

名作となりえた作品
『雀骨』は人物描写も論理構成も非常に丁寧で、「なぜその人物がそう行動するのか」が一貫して視聴者にも分かる。そのため物語への没入感が高く、先の展開が気になって次々と見進めたくなります。
そして派手な映像や豪華な演出がなくても、優れた脚本と主演俳優の演技力、そして存在感だけで、ここまで作品の質を高められることを証明してくれたドラマ。
だからこそ、最後にどうしても思ってしまいます。
この素晴らしい物語に、もし十分な制作費と宣伝予算が与えられていたなら――。
『雀骨』は間違いなく名作の一つになれた作品だったのではないでしょうか。百花殺ではなく雀骨にこそ予算を充ててほしかった。とは言え仕方がないことなのですが。
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