タン・ソンユン(譚松韻)とリウ・シュエイー(劉学義)が主演する新作時代劇『蘭香如故』が、かなり面白いことになってきました。
9月11日に配信が始まったばかりですが、Tencent Video(騰訊視頻)の站内熱度はぐんぐん上昇し、猫眼のドラマ熱度ランキングでも首位を獲得。
正直、放送前はここまで勢いが出るとは思っていなかった人も多かったのではないでしょうか。
ところが実際に始まってみると、タン・ソンユン演じる没落令嬢・許蘭香の物語が思った以上に重厚。
さらに原作小説『蘭香縁』からかなり大胆に設定を変更しているのですが、これが単なる“映像化のための改変”ではなく、今の視聴者が見やすい物語へとうまく組み替えられているんですよね。
そして、そんなシリアスな本筋とは別のところで、なぜか今ネットを騒がせているのが男性キャスト2人の女装姿。
今回は『蘭香如故』がここにきて一気に注目を集めている理由を、原作との違いも含めて見ていきます。
※ここからは序盤のネタバレを含みます。

『蘭香如故』は没落令嬢と元許嫁が再会する物語
『蘭香如故』のヒロイン・沈嘉蘭(タン・ソンユン)は、大学士府に生まれた名門令嬢。
幼い頃から林家の長孫・林錦岐(リウ・シュエイー)と婚約していましたが、祖父が謀反の罪に問われたことで沈家の運命は一変します。
一族は滅ぼされ、林家も自らの家を守るために沈家との婚約を解消。
生き残った沈嘉蘭は、かつて沈家から恩を受けた許万全夫妻に助けられ、亡くなった娘「許蘭香」の身分を借りて生きていくことになります。
かつては林錦岐の婚約者だった名家の令嬢が、今度は林家の侍女として屋敷へ入る――。
しかも林錦岐はすでに趙星棠(リー・モン/李夢)と政略結婚しています。
身分も立場も何もかも変わってしまった2人が再び出会うという、最初からかなり切ない設定なんですよね。
原作『蘭香縁』から大きく変わった3つのポイント
『蘭香如故』は禾晏山の人気小説『蘭香縁』を原作としていますが、ドラマ版では設定そのものにかなり大きな変更が加えられています。
脚本を手掛けるのは簫楼と、『長相思』の原作者としても知られる桐華。
特に序盤を見ると、原作の世界観を残しながらも、人物の見せ方はかなり現代的に再構築されている印象です。
劉学義(リウ・シュエイー)プロフィール|結婚・彼女・身長・性格・出演ドラマ&最新作まで
① 原作の「転生」を完全にカット
一番大きいのは、やっぱりここ。
原作『蘭香縁』では、ヒロインは首輔の孫娘として生きた前世で家族とともに罪に巻き込まれ、新婚の夫と流刑に向かう途中で死亡。
その後、前世の記憶を持ったまま林家の家生丫鬟・陳香蘭として生まれ変わります。
つまり原作は、いわゆる「重生(転生)」ものなんですね。
ところがドラマでは、この設定を大胆に削除。
沈嘉蘭は一族が滅ぼされた際に生き延び、亡くなった許家の娘「許蘭香」になりすまして林府へ入ります。
これ、個人的にはかなり良い変更だと思います。
転生という“金手指”的な要素を使わず、昨日まで名家の令嬢だった女性が突然すべてを失い、身分を偽って侍女として生きなければならなくなる。
そのほうが彼女の喪失感や恐怖、そして「何としても生き残る」という強さがストレートに伝わってくるんですよね。
② リウ・シュエイー演じる林錦岐の人物像も変更
そしてもうひとつ大きいのが男主。
原作の林錦楼は、香蘭に対してかなり強引。
彼女の意思よりも自分の感情を優先するようなところがあり、いわゆる昔の中国古言でよく見かけた「強取豪奪系」の男性主人公です。
一方、ドラマ版でリウ・シュエイーが演じる林錦岐は、もちろん強引な部分を完全に失ったわけではありませんが、そこに「林家を背負う人物」という重さがかなり加えられています。
沈家との婚約解消も、趙星棠との結婚も、彼自身の恋愛感情だけではどうにもならない家同士の事情が絡んでいる。
そして数年後、かつての婚約者だった沈嘉蘭と「主人と侍女」という全く違う立場で再会することになります。
単純な“俺様男主×侍女”ではなく、過去を知る2人だからこその緊張感があるのが面白いところ。
序盤では恋愛を急いでいないのも、個人的には結構好きです。
劉学義(リウ・シュエイー)プロフィール|結婚・彼女・身長・性格・出演ドラマ&最新作まで

③ 悪役だけでは終わらない女性たち
そして『蘭香如故』を見ていて面白いのが、タン・ソンユン演じる許蘭香だけに物語を集中させていないところ。
特に存在感が強いのが、リー・モン演じる林錦岐の正妻・趙星棠です。
普通なら「男主とヒロインの間に立ちはだかる嫌な正妻」にされてもおかしくないポジション。
ところが彼女自身も、家のために結婚させられ、自由を奪われてきた女性として描かれています。
もちろん彼女の行動すべてを肯定できるわけではありません。
それでも「なぜこの女性はこうなったのか」という背景まで見せることで、単純な善人と悪人に分けられないんですよね。
許蘭香だけでなく、それぞれ違う立場で家や身分制度に縛られている女性たちを描く。
この女性群像劇としての厚みも、『蘭香如故』が普通の宅斗ドラマとは少し違って見える理由なのかもしれません。
シリアスな物語の裏で「女装男子」2人がまさかの話題に
そんな重い物語が続く『蘭香如故』ですが、ネットでは全く別のところでも盛り上がっています。
それが、男性キャスト2人の女装。
しかも「どう見ても男が女装しています」というコメディ的な演出ではなく、本気で作り込まれているので、一瞬誰なのか分からないレベルなんです。
『山河令』マー・ウェンユエンが別人級
まず1人目は、趙星棠のかつての想い人・銭少沢を演じるマー・ウェンユエン(馬聞遠)。
『山河令』を見た人なら、ジョウ・イエ(周也)演じる顧湘と恋に落ちる曹蔚寧役、と言えば分かる人も多いはず。
最近では『玉茗茶骨』にも出演していました。
『蘭香如故』では趙星棠と密かに会うために女性の姿へ変装するのですが、長い髪に細い眉、紅を差した姿になると本当に別人。
もともとのキリッとした顔立ちを知っているだけに、ギャップがかなりすごいです。
しかも、この女装が単なる笑いのためではなく、趙星棠との関係を成立させるための設定として使われているのもポイント。
彼女が林家へ嫁いだ後も、2人の関係が完全には終わっていなかったことが、物語の大きな火種になっていきます。
『驕陽似我』Kevin役のパン・イーホンも女装
そしてもう1人が、林錦岐の護衛・九皋を演じるパン・イーホン(潘毅鴻)。
どこかで見たことがあると思った人もいるかもしれませんが、『驕陽似我』でソン・ウェイロン(宋威龍)演じる荘序の同僚・Kevinを演じていた俳優です。
『蘭香如故』では普段、林錦岐のそばに控える鋭い雰囲気の護衛。
ところが情報を探るために「銭令嬢」として女装すると、これまた雰囲気が一変します。
髪を高く結い、髪飾りを付け、淡い色の衣装をまとった姿は普通に名家のお嬢様。
男装時とのギャップがかなり大きく、ネットでもマー・ウェンユエンと並んで話題になりました。
面白いのは、2人とも女装を「笑わせる演技」にしていないこと。
メイクや髪型、アクセサリーまできちんと女性として作り込み、仕草や表情も必要以上に大げさにしない。
そのため中国SNSでは、『蘭香如故』について「男扮女装をきちんと撮っている」といった声も上がっています。

『蘭香如故』は原作改変が成功した作品になる?
原作ファンにとって、ドラマ化で設定が大きく変更されるのはかなり怖いところですよね。
特に『蘭香如故』は、原作の根幹ともいえる「転生」をなくし、男主人公の性格や女性キャラクターの描き方まで変えています。
普通なら「原作と別物」と批判されてもおかしくありません。
それでも序盤の反応を見る限り、今回は変更したことで物語が分かりやすくなった部分もかなりありそうです。
そして何より、タン・ソンユンとリウ・シュエイーの恋愛を最初から前面に押し出さず、許蘭香がなぜ侍女として生きることになったのか、林家では何が起きているのかをかなり丁寧に積み上げているのが印象的。
華やかな古装ラブロマンスというより、今のところは「身分」「家」「女性の生き方」を描く宅斗・群像劇の色がかなり強いです。
Tencent Videoの站内熱度も、初日から日を追うごとに上昇。
既に30,000を突破しています。
開幕直後に一気に爆発したというより、視聴者が見始めてから数字が伸びているというのが面白いところですね。
まだ物語は序盤。
元婚約者だった許蘭香と林錦岐の関係がここからどう変わっていくのか、そして存在感がかなり強い趙星棠を含めた女性たちの物語がどう描かれていくのか。
『蘭香如故』、これは思っていた以上に長く話題になりそうな作品かもしれません。