中国ドラマ

【感想】山河令、面白い?見る価値は?

『山河令』は、2021年中国ドラマの最高傑作の一つとして、国内外で大きな話題を呼んだ作品です。
ファンタジー武侠ドラマという枠組みの中では10本の指に入るほどの良作で、S級ドラマではなかったにも関わらずS級ドラマに匹敵するほどの面白さで、超大ヒットしました。

四季山荘の荘主で晋(しん)王の特務機関・天窗の首領、周子舒(ジョウ・ズーシュー)が節度使の一族を抹殺すべく屋敷を襲撃。娘・静安(ジンアン)郡主には自害のための毒を渡すが、彼女が師弟・秦九霄(チン・ジウシアオ)の恋人だったと知る。実は周子舒は1年半前に秦九霄を亡くした時、己の野心のために天窗を利用する晋王と縁を切ると決意し体に釘を打ち込む極刑を自らに課していた…。

総合評価:4.5
脚本  :4.7
演出  :4.5
映像  :4.4
主役演技:4.2
音楽  :3.9

「陳情令」との比較

同じ枠組みでは三河令の前に「陳情令」が2020年に放送されて、日本で超ヒットとなっていますが、個人的には『山河令』の圧勝です。脚本の複雑さやプロットは「陳情令」が原作も優れているのもあって素晴らしかったですが、俳優陣の演技力と演出力で『山河令』に軍配が上がりました。(陳情令は、個人的にもっと各人物像の内面に焦点を当ててほしかった!原作の「魔道祖師」が優れているために余計そう思ってしまう…。三河令は、原作「天涯客」の世界観や感情表現を見事に昇華していましたね)

映像美

本作の映像美には言葉を失います。中国の風景や建物、衣装などが、実に美しく描かれています。また、仙侠小説ならではの仙術や神話的存在が登場する場面では、見事なCG技術が使用され、迫力あるアクションシーンが繰り広げられます。特に、本作のオープニングシーンは、美しさと迫力の両方を兼ね備えた、見事な映像美が印象的です。

主演たちの演技力

主演を務めたチャン・ジャーハン(張哲瀚)が素晴らしかった!もちろんゴン・ジュン(龔俊)やジョウ・イエ、マー・ウンユエンも素晴らしかったですが、どちらかというと2番手や3番手に惹かれがちな私が、このドラマだけは主演チャン・ジャーハン(張哲瀚)に拍手を送りたいほどの繊細な演技力!

6話で正体が明らかになるシーン。
髭ボサボサの浪人、周子舒が、変装を解いて素顔を晒すシーンは、その美しさにボーっと見つめてしまう温客行の気持ちがよく理解できました(^^;)

自ら犯してきた罪と正義感の中で苦しみ、人生に絶望しつつも生を諦められない主人公、周子舒と、残忍さと冷酷さの中に、弱いものへの温かい愛情と寂しさが垣間見える温客行の物語。
ルールやしきたりを心よりも優先させることの愚かさと、心に従って生きることの難しさがよく表現されていたドラマでした。

36話という、中国ドラマにしては短い話数でしたが見応えも十分で、確実に再視聴するであろうドラマです。
願わくば、あらぬ噂で陥れられ、中国で芸能活動を禁止させられてしまったチャン・ジャーハン(張哲瀚)が、一日でも早く名誉を回復されて真相が暴かれ、ドラマ復帰できるようになることを祈らずにはいられません。

 

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