筆者が過去に見てきた中国ドラマの数は、1000本を優に超えます。近年は、これはっ!と思うドラマも少なくなってきていたのですが、1年ぶりくらいに当たりドラマに出会いました。
それは「一念関山」
2025年8月5日〜WOWOWにて一挙放送予定
https://www.wowow.co.jp/detail/200070/001/01
総合評価:4.6
脚本 :4.7
演出 :4.8
映像 :4.1
主役演技:4.4
音楽 :4.1

正直に告白すると、最初は劉詩詩が主演だったので、なんとなく見始めただけでした。中国ドラマにはそれなりに親しんでいるつもりでしたが、久しぶりにここまで心を揺さぶられる作品に出会いました。
第1話を見終わった時、「これは…面白くなる予感がする」と直感したんです。
そして最終話まで見終わって、2025年、このドラマを超える中国ドラマに果たして出会えるかな?と思うくらいに、傑作だったと思えています。
劉詩詩の美しさは別次元 - 言葉では表現しきれない魅力
まず語らずにはいられないのが、主演女優・劉詩詩(リウ・シーシー)の美しさです。もう、本当に言葉が出ません。
古装(時代劇衣装)をまとった彼女の姿は、まさに絵画から抜け出してきたような美しさ。特に、風になびく長い髪と、澄んだ瞳の組み合わせは、もはや芸術品レベルです。

でも劉詩詩の魅力は、単なる外見の美しさだけではありません。彼女が演じるキャラクターの内面的な強さ、優しさ、そして時に見せる悲しみの表情まで、すべてが美しかった!
古装ドラマにおける彼女の立ち居振る舞いも完璧です。歩き方一つとっても、まるで本当にその時代を生きているかのような自然さ。元々バレリーナだっただけあって、姿勢が美しく、衣装の着こなしも素晴らしく、どのシーンを切り取ってもポスターになりそうです。
劉詩詩と言えば、仙剣奇侠伝三、歩歩驚心、明妃伝、など好きな作品は沢山あり、以前から注目していましたが、この作品での彼女が一番好きです。本当に最高でした!演技の幅も広がっており、コミカルなシーンからシリアスなシーンまで、見事に演じ分けています。彼女の笑顔には心が温かくなり、彼女の涙には胸が締め付けられる。改めて、いい女優さんになったなぁ(誰目線?w)と思いました。
劉宇寧 - 初めて「かっこいい」と思えた
そして、主演男優の劉宇寧(リウ・ユーニン)について。
実は、私は今まで彼をそれほど意識したことがありませんでした。嫌いでもないけど好きでもない。歌手出身ということは知っていましたが、筆者が音大出身のため、歌に関してはかなりうるさいと言うか、厳しくなってしまうので、何度も彼の歌は聞いたことがありましたが、正直なところ「歌手を名乗れるほど上手くはない」という感想で、下手ではないものの、上手くもない、という感じで。歌手=歌が上手くないと。という偏見があるので、何とも言えない印象を持っていたんです。

でも、この作品での彼を見て、あれ、役者としては結構いいのでは?と思いました。俳優として過去に出演していた長歌行や英雄伝も見てますが、より、格段に、この役は当たり役だったと思います。
初めて彼を「かっこいい」と思えました。
彼が演じる男性キャラクターは、外見的な美しさと内面的な強さを兼ね備えており、劉宇寧はそれを見事に体現していました。特に武術シーンでの彼の動きは本格的で、まるで本当の武芸者のよう。剣を構える姿、馬に跨る姿、すべてがサマになっていて、高身長ということもあり、素晴らしかったです。
役者としても、感情豊かな演技を見せてくれました。まだ成長過程であることは窺えますが、今後の成長が楽しみな俳優であることは間違いない、と思える演技でした。
声も、台詞の一つ一つが耳に心地よく響きます。古典的な台詞回しも見事にこなしており、キャラクターの品格を見事に表現していました。
二人の化学反応も抜群で、画面越しにも伝わってくるほどの絆を感じることができました。本当に素晴らしいキャスティングだったと思います。
演出と脚本のクオリティに脱帽
しかし、このドラマの真の魅力は、演出と脚本のクオリティの高さにあります。
まず脚本ですが、これほど緻密に練られた物語は久々に見ました。登場人物一人一人に明確な動機があり、誰一人として無駄なキャラクターがいません。主人公たちの成長過程も丁寧に描かれており、視聴者は自然と彼らに感情移入していきます。
特に素晴らしいのは、伏線の張り方と回収の仕方です。序盤に何気なく描かれていたシーンが、後半になって重要な意味を持ってくる瞬間の快感は、本当にたまりません。脚本家の力量の高さを感じずにはいられませんでした。

台詞回しも秀逸です。古典的でありながら現代の視聴者にも理解しやすく、時には詩的な美しさを感じさせる台詞が随所に散りばめられています。
演出についても文句のつけようがありません。
カメラワークは映画レベルの美しさで、一つ一つのカットが絵画のよう。特に自然の風景を背景にしたシーンは息を呑むほど美しく、中国の壮大な自然の美しさを存分に堪能できます。
アクションシーンの演出も見事です。殺陣の美しさはもちろん、スピード感とダイナミズムが絶妙にバランスされており、見ていて飽きることがありません。CG技術も効果的に使われており、大袈裟でなく、説得力を持って描かれています。
音楽の使い方も抜群です。BGMは物語の世界観を損なうことなく、むしろ感情を高める効果を発揮しています。特に後半の黄霄雲の挿入歌は、ドラマの世界観にぴったりとマッチしており、メロディーを聞くだけで物語の世界に引き込まれ、未だに泣いてしまいます。
怒涛の後半戦 - 涙なくしては見られない嵐の展開
そして、このドラマの最大の魅力は、怒涛の後半戦です。
第20話を過ぎたあたりから、物語は一気に加速していきます。それまで丁寧に積み重ねてきた感情や関係性が、一気に爆発するような展開になります。
この作品の後半は本当に涙腺崩壊。ティッシュボックスが手放せませんでした。久しぶりに、声を上げて泣いてしまいました。
主人公たちの愛の深さ、犠牲の尊さ、そして運命の残酷さが見事に描かれており、感情が溢れて止まりませんでした。
でも単純に悲しいだけではありません。希望や愛、友情の美しさも同時に描かれており、涙の中にも温かさを感じることができます。これほど心を揺さぶられる物語は、本当に久々でした。
最終話に向けての展開も見事です。視聴者の予想を裏切りながらも、きちんと納得のいく結末を迎えており(人によっては納得いかないかも、ですが^^;)、脚本の完成度の高さを改めて実感しました。

キャラクターの成長が丁寧に描かれている
このドラマのもう一つの魅力は、キャラクターの成長が丁寧に描かれていることです。
登場人物たちは、それぞれに欠点や弱さを抱えており、物語を通じて少しずつ成長していきます。その過程が非常にリアルで、彼らと一緒に成長していく気分を味わえます。
愛する人のために覚悟を決める瞬間、仲間のために立ち上がる勇気を示す瞬間、そのすべてが心に響きました。
サブキャラクターたちも魅力的です。これほど全てのキャラクターが、立体的に描かれている作品は珍しいと思います。
総括 - これは絶対に見るべき作品
長々と語ってきましたが、まだまだお伝えしたいことがたくさんあります。
「一念関山」は、美しい映像、優れた演技、練られた脚本、感動的な物語、すべてが高次元でバランスされた傑作です。
劉詩詩の美しさと演技力、劉宇寧の意外な魅力、そして制作陣の技術力の高さ。すべてが組み合わさって、この奇跡的な作品が生まれたのだと思います。
もしまだご覧になっていない方がいらっしゃったら、ぜひ見てください。特に後半戦は本当に涙なくしては見られません。ティッシュの準備をお忘れなく!
このドラマに出会えて本当に良かったです。きっと皆さんも同じ気持ちになれると確信しています。
