中国ドラマ

2023年大ヒット作『寧安如夢』- なぜ人々はこれほどまでに熱狂したのか?感想と評価

2023年の中国ドラマシーンを振り返る上で、絶対に外すことのできない一作、それが『寧安如夢(原題:宁安如梦)』です。配信前から異例の注目を集め、配信開始後は瞬く間にチャートを席巻。その熱狂は社会現象と呼んでも過言ではなく、多くの視聴者が物語の行く末に一喜一憂し、連日SNSを賑わせました。

主演は、今やトップ女優の地位を不動のものとした白鹿(バイ・ルー)と、『蒼蘭訣』で大ブレイクした次世代スター・張凌赫(ジャン・リンホー)。人気と実力を兼ね備えた二人の共演、そして「悪女皇后が人生をやり直す」という劇的な「重生(転生)」ストーリーは、一体なぜこれほどまでに人々を惹きつけたのでしょうか。


本記事では、驚異的な「熱度」が証明した人気ぶりから、視聴者の間で巻き起こった絶賛と賛否両論のリアルな声まで、多角的に『寧安如夢』の魅力と功罪を深掘りしていきます。

数字が物語る圧倒的な「熱度」- 2023年を代表するメガヒットの証明

近年の中国の配信ドラマの人気を測る指標として、「視聴率」よりも重視されるのが、各プラットフォームが独自に算出する「熱度(熱度指数)」です。これは、再生回数、視聴時間、コメント数、SNSでの拡散度などを総合的に評価したもので、作品の盛り上がりをリアルタイムで示す指標と言えます。
『寧安如夢』が叩き出した数字は、まさに記録的なものでした。

前代未聞の予約数: 配信プラットフォームiQIYI(愛奇芸)では、配信開始前の視聴予約数が750万人を突破。これは当時の記録を塗り替える驚異的な数字であり、いかに多くの人々がこのドラマを待ち望んでいたかを物語っています。

iQIYI熱度指数「10000」超え: 配信開始後、熱度は瞬く間に上昇。そして、配信中の2023年11月19日には、ついにiQIYIの熱度指数が10000の大台を突破しました。iQIYIにおいて熱度10000を超えることは、その年に数本しか生まれない「爆款(メガヒット)」の証です。『寧安如夢』は、2023年に同プラットフォームでこの快挙を成し遂げた4作品(『狂飆』『長風渡』『蓮花楼』)のうちの一つとなり、その人気を客観的な数字で証明したのです。

感想と評価

熱度の高さとは反比例するように、私個人のドラマ自体の評価は低いです。俳優陣はとても良く、原作も素晴らしかったのに、なぜこんな構成や演出になったのかが分からないほど、不自然な箇所が多々あるドラマで、物語にのめり込めなかったんです。

「編集の不自然さ」が酷く、物語の展開が急に飛んだように感じられる場面や、セリフと口の動きが合っていないシーンが散見されました。

もしかすると検閲により「重要な部分がカットされたのではないか」のかもしれませんが。張凌赫が演じた謝危も、原作ではその複雑さゆえに本作で最も人気のキャラクターの一人ですが、ドラマではその極端な行動や、雪寧に対する独占欲の強い愛情表現が「受け入れがたい」「病的すぎる」と感じました。

とは言え、熱度に比べると評価が低いだけで、10点中7点くらいは、あるかな? 元々原作のコンセプトはしっかりしていて面白いので、ドラマになって深みが薄れはしているものの、出演俳優は見応えのある演技を見せてくれていますし、男主の張凌赫はまだ経験も浅いためか細かい感情までは伝わらないところもありますが、女主の白鹿が安定していたので、良かったです。悪女だった頃の鋭い眼光、過去を悔いる時の儚い表情、大切な人を守ろうとする時の決然とした態度、そして心を許した相手に見せる少女のような笑顔。姜雪寧というキャラクターの多面性を見事に演じ分けていて、「白鹿なくしてこの作品は成立しなかった」と思います。

白鹿と同じ事務所で2男の王星越も、とても良かったですしね。

「重生」という設定を活かし、一度目の人生の結末を知っている雪寧がどう行動を変え、それが未来にどう影響していくのか、というサスペンスフルさと、宮廷内の権力闘争や20年前に隠された事件の真相など、複雑に絡み合った伏線が少しずつ回収されていく構成は面白かったです。

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