遅ればせながら「白華の姫~失われた記憶と3つの愛~」視聴完了しました。
(原題:白髪 / 原作:白髪王妃)
総合評価:4.4
脚本 :4.7
演出 :3.7
映像 :3.8
主役演技:4.2
音楽 :4.4
実はこのドラマ、全然期待してませんでした。
以前3話まで観たもののハマれずリタイアしていたのですが、何となくこのドラマに呼ばれて再開。
5話まで見てみたら「あれ?めっちゃ面白いじゃん!?」となりました😅
脚本が本当に良い!こんな重い話だったのね。
最後まで見ると、この脚本の出来にびっくりします。作りこみの綿密さがエグイです。
伏線が細かく張り巡らされていて、40話以降スルスルと回収されていきます。めっちゃ気持ちいい!
脚本は本当に素晴らしいので、演出、カメラワークががもう少し上手かったら、更に評価もあがったかな、と思います。
女主人公を愛する3人の男たち。
それぞれ特徴がありますが、実は誰も好みの俳優ではない( ノД`)シクシク…
男主人公のアーリフ。(写真は下の方に)
まずは顔が長い!いや長い!本当に長い!しかしながら演技力は安定のアーリフです。
2番手のジン・チャオ。(写真は下の方に)
渋い…渋いけどコレといって特徴がない。めっちゃイケメンでもなく、もちろん不細工なわけもなく。
3番手のレオ・ロー。(写真は下の方に)
美しいのよ?お顔も所作も立ち居振る舞いも。でもなんか美しすぎて人間味が無い(-_-;)
という、実は3人とも好みではなかった男3人なのですが、意外なことにレオ・ローが良かったです!
めちゃ良い役っていうのもあったけど、とにかくレオローには最後持ってかれた、号泣!!
あれ?主人公ってレオローだっけ?と思うほど、最後にすべてを掻っ攫っていった感!
長いけど、飛ばさずに見て良かったと思えるラスト…というかラストまで見ないと、このドラマの深みは分からないです。
見事なほどに最後すべてが解き明かされ、泣かずにはいられない驚愕の真実が明らかになるので。
以下、ネタバレ注意です…
男① 無憂:容楽への愛を貫き通す、芯の強い気高き皇子
無憂(むゆう):宗政无忧
無憂にとって容楽は、死ぬまで共に生きていきたい人であり、例え傍にいなくても、生涯の愛を誓い心の全てを捧げた人です。 容楽の幸せを最優先に考えながらも、二人で幸せに生きることを諦めず、容楽を心から慈しみ、尊敬し、愛した人です。
容楽の幸せを思い、容楽を手放しても見守る愛を選べる強さが、無憂の素晴らしいところです。自分の欲より愛する人の幸せを思える男。
「そばにいなくても、愛することは出来る」という無憂の台詞はもはや名言!
忘れ去った記憶の中で、誰より愛した容斉を失い、容斉の死と共に蘇った記憶の中で苦しむ容楽を、丸ごと受け入れて愛することのできる懐の深さは、最後容楽にとっての帰るべき場所として相応しかったと思います。
男② 傅筹:容楽への愛と復習との狭間で葛藤する孤高の大将軍
傅筹(ふちゅう)
傅筹にとって容楽は、地獄のような人生の中でたった一つの癒しであり唯一、人の温かさを感じさせてくれる女神のような存在です。 容楽の愛を得るためなら、人生を賭けた目的でさえ捨てられるほどに容楽の愛を欲しながら、容楽を常に許し、崇拝し、愛した人でした。
容楽の幸せのため、というよりは、容楽に愛されたいと願い、容楽と愛し合いながら暮らすことができるなら、全てを捧げられる男でした。
最後には容楽と無憂との間に出来た子供を守るために戦い、命を落としました。 彼もまた心から、容楽を愛していたのだと思い知らされます。
男③ 容斉:苦しすぎる宿命の裏に、誰よりも深い愛を隠して生きる若き皇帝
溶斉(ようせい):容齐
容斉にとって容楽は、幸せそのものであり、苦しみだけの人生の中でたった一つの喜びで光です。
自らの命を削りながら、愛する人にさえ恨まれながらも、容楽の幸せのためだけにひたすら奔走し、本当の意味で自分の全て、いや世界の全てをかけて容楽を守り、尊重し、愛し尽くした人でした。
彼は物語の最初から最期まで、誰よりも深い愛をもって容楽の幸せだけを願っていた人です。
容楽と愛し合いながらも、自分の命を犠牲にすることでしか容楽を救えないことを悟った容斉は、容楽から憎まれ恨まれても、容楽が自分自身を責めて苦しむことのないよう、敢えて容楽に憎まれる役に徹し、容楽が自分以外の男を愛するようになると、その男と幸せに添い遂げられるようにするために、命を削って奔走しました。
最後まで観ると分かりますが、物語に張り巡らされた伏線はすべて、復讐を企む皇太后の陰謀と、容楽の幸せためにその陰謀に立ち向かった容斉の策略です。
容楽の視点からは非情としか思えない容斉の策略や裏切り、言葉や態度は、実は全てが容楽を幸せにするために、容斉が自分の命を削りながら引いた道でした。
後半伏線が回収されていくにつれ容斉の考えが読めてきて、その緻密な策略と
「え、じゃあ全て容楽のためだったの!? あんなに恨まれたのも、憎まれたのも、全てが容楽の幸せのためだったのぉ!」
という衝撃に、愕然とします。
実際容斉の行動は謎が多く、その眼差しからは確かに容楽を愛していることが伝わってくるのに、容斉が仕掛ける罠や行動が容楽を苦しめたり悲しませたりすることが多くて、何なんだろう、と思っていたのです。
言ってみれば、出番こそ無憂や傅筹より少ないものの、容斉は初めから陰謀を企てていた黒幕を知っていたわけで、その上で容楽のために絵図を描き、人や情勢を動かしていたわけですから、終わってみればこの物語は、復讐のために陰謀を企む皇太后と、愛のために陰謀を阻止しようとする容斉の、戦いの物語だったということです。
その、皇太后と容斉の陰謀と策略の盤上で踊る、無憂や傅筹だったわけです。
この物語の全てを知り尽くして操っていたのは容斉だった、ということで、男③ではあるものの、見事に主役を搔っ攫った容斉役、レオ・ローでした。
最後に、女主人公(容楽)を演じたチャン・シュエイン(張雪迎)、とっても可愛くて美人で演技も良かったです!